桜の森の満開の下-海賊版-TRPGシナリオ三回目
2005年4月10日 TRPGシナリオ遅れ遅れですが第三回です。今回はPC1のオープニングフェイズを。
ヤツキョウスケ(PC1)はご機嫌だった。盛岡まで出てお気に入りのロックバンド『エゴイスト』のライブを見てきたのである。過激なパフォーマンスと破滅的な楽曲で知る人ぞ知る人気グループである。自意識過剰な歌詞を「恥ずかしい」といって否定する者も多いがキョウスケは彼らのそんな身勝手な歌が好きだった。
CDウォークマンに会場で買った限定アルバムを入れ聞いていると、電車からみる田舎の景色も刺激の多い都会に見えてくるから不思議だ。
『うるせぇっていってんだろぉ!!』
エゴイストの演奏をかき消すように男の声が聞こえてきた。声の方に顔を向けると60を少し過ぎたぐらいだろうか?酔っ払った男が女の子に絡んでいる。知らないフリを決め込もうとすると女の子と目が合った『助けて・・・』
そういっているように見えた
ヘッドフォンからゴルゴことボーカルの土井の声がする
キョウスケは立ち上がったそして小声でこうつぶやく
『やめてやれよ・・・』だが相手は聞く耳を持たない、こちらを振り向きもしない。
いやな感覚がよみがえってくる。自分の中の人にあらざるものが目覚めるときのあの感覚だ。それがもし目覚めてしまったらこの男は間違いなく二度と立ち上がることはないだろう。だからいさかいや喧嘩はごめんなんだ。そんなことを考えてながら、一方でこの娘を助けたいどうしても助けなければ。そう思っている自分もいる。
拳を固めた。全力を出さないように少し加減しながら左腕を振りぬく。左フックは見事に相手のわき腹を捕らえ、男は口元を押さえながらトイレへ駆け込んでいった。
『なんで俺はこんなことをしたんだ?別段美人ってほどの女でもないし、知り合いでもない。ライブのせいか?そうだな、今日は特別なんだ。』キョウスケは自分にそう言い聞かせた。
『大丈夫だあの力はまだ抑えていられる。』
気がつくと女の子がこっちを心配そうに見ていた。
『あ、あの。ごめんなさい』
『いや、別にあんたに何もされてないし。ていうか、そういう時は「ありがとう」じゃねぇ?』
『そういえば、そうだね。おかしいね』
そういって彼女は笑った。笑った顔は以外にかわいいと思えた。
話をしていくうちに同じ巌泉高校に通う生徒だということがわかった。しばらく話をした。話題の中心は音楽だったがエゴイストファンだということは黙っておいた。そうしたほうが無難なバンドなのだ。駅で彼女と別れるとき。キョウスケは妙な感覚にとらわれた何か懐かしい感じだ。それが何なのかはよくわからない。よくわからないが女の子と久しぶりにたくさんしゃべれたのでなんとなく満足だった。そしてそんな自分に少し安心をして、家路に着いた。
キョウスケは気づいていなかったが。彼女が去ったあとにいくつかの桜の花びらが舞っていた。
続く。
ヤツキョウスケ(PC1)はご機嫌だった。盛岡まで出てお気に入りのロックバンド『エゴイスト』のライブを見てきたのである。過激なパフォーマンスと破滅的な楽曲で知る人ぞ知る人気グループである。自意識過剰な歌詞を「恥ずかしい」といって否定する者も多いがキョウスケは彼らのそんな身勝手な歌が好きだった。
CDウォークマンに会場で買った限定アルバムを入れ聞いていると、電車からみる田舎の景色も刺激の多い都会に見えてくるから不思議だ。
『うるせぇっていってんだろぉ!!』
エゴイストの演奏をかき消すように男の声が聞こえてきた。声の方に顔を向けると60を少し過ぎたぐらいだろうか?酔っ払った男が女の子に絡んでいる。知らないフリを決め込もうとすると女の子と目が合った『助けて・・・』
そういっているように見えた
ヘッドフォンからゴルゴことボーカルの土井の声がする
キョウスケは立ち上がったそして小声でこうつぶやく
『やめてやれよ・・・』だが相手は聞く耳を持たない、こちらを振り向きもしない。
いやな感覚がよみがえってくる。自分の中の人にあらざるものが目覚めるときのあの感覚だ。それがもし目覚めてしまったらこの男は間違いなく二度と立ち上がることはないだろう。だからいさかいや喧嘩はごめんなんだ。そんなことを考えてながら、一方でこの娘を助けたいどうしても助けなければ。そう思っている自分もいる。
拳を固めた。全力を出さないように少し加減しながら左腕を振りぬく。左フックは見事に相手のわき腹を捕らえ、男は口元を押さえながらトイレへ駆け込んでいった。
『なんで俺はこんなことをしたんだ?別段美人ってほどの女でもないし、知り合いでもない。ライブのせいか?そうだな、今日は特別なんだ。』キョウスケは自分にそう言い聞かせた。
『大丈夫だあの力はまだ抑えていられる。』
気がつくと女の子がこっちを心配そうに見ていた。
『あ、あの。ごめんなさい』
『いや、別にあんたに何もされてないし。ていうか、そういう時は「ありがとう」じゃねぇ?』
『そういえば、そうだね。おかしいね』
そういって彼女は笑った。笑った顔は以外にかわいいと思えた。
話をしていくうちに同じ巌泉高校に通う生徒だということがわかった。しばらく話をした。話題の中心は音楽だったがエゴイストファンだということは黙っておいた。そうしたほうが無難なバンドなのだ。駅で彼女と別れるとき。キョウスケは妙な感覚にとらわれた何か懐かしい感じだ。それが何なのかはよくわからない。よくわからないが女の子と久しぶりにたくさんしゃべれたのでなんとなく満足だった。そしてそんな自分に少し安心をして、家路に着いた。
キョウスケは気づいていなかったが。彼女が去ったあとにいくつかの桜の花びらが舞っていた。
続く。
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