そんなこんなで遅れがちですが、第二回目を掲載します。今回はハンドアウトの詳細その二です。仕事もだんだん落ち着いてきたので、もう少し更新頻度上がるかなー。

ヒムロアキトは、県立巌泉高校野球部のエースである。子供のころから何よりも負けるのが嫌いだった。そしてこの街が大好きである。後二年したらこの街を出て東京の大学へ通うつもりでいる、そのときには絶対に東京者(トウキョウモン)になんか負けてやるつもりはない。そんな典型的な『おらが村大好き』な少年である。確かにこの街には派手な娯楽はない、だが竜泉洞という洞窟があり、温泉も出る、竜泉洞から駅前まではそれは見事な桜の街道が走っており。毎年それを東京者が拝みに来るのだ。あいつらが大枚はたいて見物に来るものがいつもそばにある。なかなか愉快なことではないか。そう思っている。

だが、そんな『おらが村』に異変が起こり始めている。名物の桜はことしはつぼみのままで春を終わろうとしている。殺人事件が頻発しているといういやなうわさも耳にする。そして信頼するキャプテンの浩一がもう3日間も学校に来ていない、顔をあわせない日はないくらいの相手とこれほど長く会わないというのはなんだか落ち着かない・・・いやな胸騒ぎがする、夜中になると悪寒がして目が覚めることが多い。病気なわけではない、自分の中のもう一人の自分の力が目覚めようとしている、できれば、楽しい学生でいたいのに。そうさせない何かが迫っている。それが気のせいであればいいのに・・・

最近仕事が忙しい。この不景気に結構なことかもしれないが。シゴノセセイラの場合あまり商売大繁盛では素直に喜べない事情がある。彼女は外科医なのである。葬儀屋と医者はあまり繁盛しないほうが世の中が平和だというが一般的なものの見方だろう。
けが人が多い、林業が盛んな街だから擦り傷、切り傷が多いのは、納得できるが、最近の患者はそうではない。あきらかに殺意を持った傷を負った人々が病院に担ぎ込まれてくる。

『・・・正直うんざりだわね。』
これが最近の口癖になってしまっている、常にしかめっ面をしているはずだ。これではいけない精神的にも、肉体(美容)にも。まぁそうはいっても彼女には老いなどというものは訪れないのだが。
『おらぁ、見たんだ!でかい熊みてぇな化け物が。ヨシさんを真っ二つにしたんだよぉ・・・本当だオラぁはうそはいってねぇ。』今朝も患者のスズキさんがわめいている、5日目となればなれたものだみんな聞こえているくせに聞こえないフリをする。
『いやな夢でも見たんですよ。』看護婦が彼を落ち着かせるように笑顔で近づき、安定剤を処方することでこの朝の儀式は幕となる。それを見てセイラはつぶやくのだ

『そうね、夢じゃないわね・・・これか夢だったらどんなにいいかしら・・・』

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索