俳優修行

2005年2月28日 TRPG
スタニフラフスキィという偉い演劇人がいる。
『俳優修行』なる分厚い演劇の本を書いたりしていてそのスジでは結構有名な人なのだ。モトミヤは演劇も好きなのでそういう本を結構持っていたりする。

『俳優修行貸してください!』
とこの間知り合いのRPGゲーマに言われたので
『舞台で演じた人でないと本当の所は理解できないと思うよ?』
と偉そうなコメント付きで貸してみた。俳優修行のなかで主に語られているのは演じるべき役と俳優の間にある心の距離の問題とか。日常の言葉に見せて実は多様な意味をもつ台詞をいかに観客に強く伝えるか?といった、書いてる自分でも良くわからなくなるような感覚的なモノである。何回か舞台を踏んでようやく『ああ、こういうことかもシンナイ』と理解するようなものである。
よくわかるワード とか これでわかったエクセル関数 のように1週間でマスターできるような代物ではない、はずなのだが…

『いやぁーモトミヤさん良くわかりましたよ』
とかれはご機嫌で、本を返してきた。
『…よくわかったのか?おらぁ馬鹿かもシンナイ』と一抹の不安を抱いたままセッションに参加した。今回は囲む会ではなくあるコンベンションで知り合ったお友達のサークルさんである。プレイしたのはアリアンロッド、何回かプレイもしていたのでサクットキャラクターメイキングを完了し回りを見渡すと。件の 俳優修行君がなにやら膨大な量のメモをキャラクターシートに書いているではないか、なんでもキャラクターを演じるために必要だということなのだそうだ。

家族構成やら、そのキャラクターの性格設定。はては好みの女の子まで。ギアアンティークのログブックばりの細かさで設定が出来上がっていく。
『こうやってキャラクターを明確化するんですよ、キャラの心情が掴みやすくなりますからね』

そんなこんなでセッション開始!だが、俳優修行君の番になるとシーンが長い。あれこれと設定を事細かに説明する上にキャラクターの心理描写を丁寧にやりすぎるものだからどうしても場面がだれてしまうのだ。ゲーム自体はつつがなく終了したが。俳優修行君はなぜか釈然としない面持ちだった。

帰りの電車で俳優修行君は言った。
『もっと面白く遊ぶために演技の勉強をしたつもりが、なんか実験でもしているような気分になっちゃいましたねぇ。あれを鵜呑みにするんじゃなくて部分、部分を参考にすりゃぁ良かったんだな。モトミヤさんもっと入門書っぽい本貸してくれませんか?』

俳優修行はすばらしい本だが、決して入門書ではない。野球をはじめたてのビギナーがいきなりトルネード投法を使うことができないようにいきなり内的心情とか表面的感情とかいっても、わかったような気になるだけで実際に使えるところまではいかない。まずは楽しむこと。話はそれからだろう。

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